新着情報2013年

職藝未来塾:特別公開講座「マイスター講話」開催

8月1日、東黒牧キャンパスにて特別公開講座「マイスター講話」を開催しました。
“職藝特別公開講座” 「マイスター講話」は、職藝学院の大工と庭師のためのカリキュラムの一部を一般へ公開するもので、今回は秦正德氏(附置研究所 職藝基礎研究センター所長/富山大学名誉教授)より、限りある地球資産を有効に長く活用し、文化や風景を継承しつつ豊かな生活環境づくりが求められる現代における木造建築の長持ちについて学びました。

テーマ:『木造建築は長持ちしなくてはならない』

講 師: 秦 正德氏(附置研究所 職藝基礎研究センター 所長/富山大学名誉教授)

以下の内容をポイントに講義が行われました。
●木材利用の循環系(樹木→木材→利用→廃棄→二酸化炭素と水とエネルギー→光合成 →樹木)に伴う木造建築の実際的な耐用年数の 目標値は100年とするのが合理的である。
●大工技術による建造は4,000年前(縄文時代)にさかのぼり、その頃の生活、建築材料の活用、建築技法等により木材利用の理想循 環系が実践されていた。
●技術の進歩に伴い、工学的な技術は次々とステージを変えて発展してゆくが、戻ることはできない。伝統木造の科学的説明が課題として挙げられるが、単に架構を計算に合わせようとするなどして、木造文化を失ってはならない。
●住宅の耐用年数は、構造材料(例:木造、RC造)による差はない。建物の廃棄は使い勝手による影響、つまり面積の大小によるところが大きい。
●100年以上使い続けた富山の民家の特徴として、“継続的なメンテナンス”“地元の木材活用と高い大工技術”“森林と連携した家屋や住まい方(=木造文化)”が挙げられる。
●増改築時に既存部分の補修も実施しておくと、傷みや陳腐化が解消されて新築と同じ性能や機能に保てる。

特別公開講座「マイスター講話」  
木造利用の理想循環系の解説