実物実習建築職藝科実物実習
福島一区コミュニティセンター改築工事
建築職藝科2年(9期生)社寺大工コースの実物実習において、射水郡大島町(現在は射水市)の地蔵堂3棟を修復しました。
3棟の地蔵堂は、赤井、小林、新開発の3地区に、それぞれ明治30年前後に建立されたもので、平成17年5月に大島町文化財に指定されました。
文化財指定後に職藝学院に運んだ地蔵堂を、上野幸夫教授の監修の下、修復作業を行いました。いずれも瓦葺きとなっていたものを、建造当時の柿葺きに復元しました。
●施設設計の趣旨
この建物は旧福島公民館の建替えとして新設され、親しみが持てると同時に人と地球に優しい木造の地域コミュニティ施設です。
子供からお年寄りまで、地域の人々がより安心して暮らせる地域づくりのためのふれあいの場であり、コミュニティ活動拡充の施設でもあります。
毎年9月1日~3日に行われる"八尾町・風の盆"ではおわら踊りの演舞場などとしても活用されます。おわら踊りの町流しは、伝統的大工技術を生かした八尾の町並みの佇まいと共に歴史を刻んできました。この建物は八尾の町並み景観保全や地域木造建築づくりの技能継承への貢献も目指しています。
●実習教材の概要
工事名称: | 福島第一区コミュニティセンター改築工事 |
用途: | 地域交流施設・屋内運動施設 |
場所: | 富山県富山市八尾町福島(JR八尾駅前) |
構造階数: | 木造2階建て |
構法: | 軸組在来工法(伝統構法) |
延面積: | 311.76m2(94.31坪) |
教材提供: | 富山市八尾町福島第一区自治会 |
実習: | 建築職藝科 第9期2年生、一部1年生(総合指導 島崎英雄 マイスター) |
木工事+内外装工事:建築大工コース(指導 新井忠雄 マイスター) 建具工事:建具大工コース(指導 澤田勲 常勤講師) 家具工事:家具大工コース(指導 柿谷正 マイスター) |
この教材は、大工技能継承のために建築職藝科の建築大工・建具大工・家具大工の全コースに関わる総合教材として、2005年度の2年次・第9期生に提供いただきました。
学生達は、木造建築の骨組み(軸組・小屋組・床組)、内部空間を豊かにする富山の地域無垢材による内装や木製家具および内外の木製建具など、ほとんど全ての工事に実地に関わって学びます。
その代表的なものは、本学院マイスターの提案・工夫による大空間(梁間8m[4.4間]X桁行16m[8.75間]X梁上の高さ5.6m)を包み込む、梯子を横にしたような木造"フィーレンデール・トラス"(梯子梁)の墨付・加工・組立です。このトラスは鉄骨橋梁として用いられますが、金物を用いないで笄(かんざし)などの木組みのみによるものは他に例がありません。
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マサカリで丸太をはつる | トラスの仮組作業 | 建て方実習の様子 |
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建て方実習の様子 | 上棟式の様子 | |
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内装工事 | 完成した福島一区コミュニティセンター |