2010日本建築学会大会「職藝学院見学会など」開催
10/10/15 UP
9月12日(日)、 “つなぐ”=「伝統技能と心の継承」をテーマに、『職藝学院見学会など』(2010年度日本建築学会大会[北陸]関連行事・北陸支部主催)が開催され、県外を含めた95名もの多くの参加者が、木造建築の意義とそれを支える職人教育の重要性について思いを共有した。
最初に、実習中心の実践教育を進めて15年目を迎えた職藝学院の授業見学が内外6ヶ所の実習場で行われ、“大工:建築大工・家具大工・建具大工”による実物教材の木製パーゴラや造作基礎としての格天井づくり、椅子や座卓・戸棚などの実用家具と框系の建具づくり、そして“庭師:造園師・園藝師”による石組み・敷石・植栽・垣根などの基礎技能を盛り込んだモデル庭園づくりなどに熱心な眼差しが注がれた。
引き続き大研修室において、高口洋人早稲田大学准教授の司会のもと、3つの実践活動が「話題提供」として報告された。
①18才から65才まで学ぶ人生道場とも言える入学から卒業までの“職藝学院の四季”について(稲葉實学校法人富山国際職藝学園理事長)、②リユース率96%及びLCCO2の在来工法木造住宅比38%減を実証した自然素材による富山の木造伝統構法「完全リサイクル住宅(W-PRH)」について(中島裕輔工学院大学準教授)と、生態学的なアプローチによる岐阜の「完全リサイクル住宅(C-PRH)」の作庭事例について(渡邉美保子職藝学院教授)、③使い込まれた手づくり道具や東京・平和台の古民家再生などの事例による伝統技能とその心の継承について(阿部勤アルテック主宰)。
話題提供を受けた「鼎談」では、内田祥哉東京大学名誉教授と尾島俊雄早稲田大学名誉教授に職藝学院渡邉美保子教授が加わり、三者それぞれの木造建築との関わり合いから話が始まり、大工仕事や職人教育まで話が膨らんで、最後に大工を目指す若者達への提言で締めくくられた。
大量の粗大ゴミとなったこれまでの建築づくり、日本の様式としての木造建築の確立、西欧では見られない家族変化に対応して増改築できる木造軸組工法の素晴らしい特質、環境や庭を建築づくりと一体的に学ぶ大切さ等々が話し合われた。そして、伝統の技をつなぐことの難しさはあるものの庶民生活の一部として染み込んでいる精緻な日本の大工仕事は決して途切れることはないであろう、そのために大工を目指す若い人達には是非良い木造建築を選んで見てほしいという提言がなされた。
なお、「W-PRH実験住宅」・「「伝統と心の継承・古民家再生」のリーフレット、および「完全リサイクル型住宅 I・III・IV」(早稲田大学出版部)・「ワボットの本7」(中央公論新社)の書籍4冊が当日資料として配布された。
※「職藝学院見学会など」の次第および講師プロフィールはこちら(PDF)
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